ウォーキングくらいで水分補給が必要?:熱中症を防ぐための水分補給のコツ

ウォーキングはランニングや登山と比べると負荷が少なく、多少暑くても水分補給なんて必要ないと思っている人も少なくありません。確かに少し歩くくらいなら水分補給なしでも問題ないケースもありますが、「水分補給は不要」と断言することはできません。

実際にウォーキング中に熱中症になって動けなくなる人がいて、その多くは正しく水分補給を行うことでトラブルを回避できた可能性があります。そこでここでは、ウォーキング中の熱中症を防ぐためには、どのように水分を補給すればいいのかについてわかりやすく解説していきます。

目次

ウォーキングで水分補給が必要な理由

ウォーキングはランニングと比べると運動負荷がかなり低いので、発汗量もそこまで多くありません。普段からウォーキングを習慣化している人が歩く場合、気温によってはほとんど汗をかくこともなく帰宅できるようなケースもあります。

でも気温が30℃を超えるようなケースでは、歩かずに止まっているだけでも汗が滲んてきますよね。ウォーキングを開始したら5分もしないうちに汗だくになる人もいます。どれくらい汗をかくかは個人差がありますが、少なくとも夏の晴れた日はほぼすべての人が汗により体内の水分が失われます。

私たちの体は汗をかくことで冷却され、体内に熱がこもるのを防いでいるわけですが、汗は体内に蓄えられた水分ですので無限にあるわけではありません。しかも体内の水分が汗として流れ出ることで、体内の水分とミネラルのバランスが崩れてしまい、上手く放熱ができなくなってしまいます。

これを防ぐためには、失われただけの水分をきちんと補わなくてはいけません。ウォーキングで200mlの汗をかいたとして、失われた200mlの水分をすみやかに補うわけです。そうすることで体内の水分とミネラルのバランスを維持することができ、ウォーキングによる体温上昇が抑えられます。

ここで覚えておいてもらいたいのは、「失った水分をすみやかに補う」ということ。まったく汗をかかないような状況なら水分補給を急ぐ必要はありませんが、夏のように立っているだけで汗をかくような環境なら、歩きながら水分を補給しないと、体温上昇を防げなくなり、熱中症などのリスクが上がるということを頭に入れておいてください。

ウォーキング中に熱中症になるとどうなる?

次に熱中症になるとどのような症状がみられるのかを把握しましょう。一般的に下記のような症状を確認できたら熱中症になっていると考えてください。

熱中症でみられる症状

  • 強いのどの渇き
  • 大量の汗
  • 頭痛
  • 吐き気や嘔吐
  • 筋肉のけいれん
  • 疲労感

このほかにもまっすぐ歩けなくなったり、体に力が入らなくなるようなケースもあります。どのような症状が起きたとしても、すみやかにウォーキングを中止して体を冷やす必要があります。ここで大事なのはこのような症状が出たら対処するということではなく、このような症状を起こさないことです。

軽いめまいやこむら返りくらいであれば、まだリカバリー可能ですが、意識障害やけいれんなどの症状がみられた場合には、熱中症は深刻な状態になっており、内臓などに取り返しのつかないダメージを負うこともあります。場合によっては救急車で搬送されるようなこともあります。

そして、これを防ぐために有効なのが水分補給というわけです。次章ではこのような症状を起こさないために、どのように水分補給をすればいいのかについて解説していきます。

ウォーキング中の水分補給のコツ

ここまでの説明で、ウォーキング中に水分補給をすることが大事だとわかってもらえたかと思います。ただ、どのように水分補給をすればいいかわからないという人もいますよね。そこでここでは、ウォーキングによる熱中症を防ぐための水分補給のコツを解説していきます。

ウォーキング中の水分補給のコツ

  • ウォーキング前にコップ1杯の水分を摂取する
  • 5分おきにひと口、もしくは15分毎に100ml
  • 水ではなくスポーツドリンクで補給する

ウォーキングでの熱中症を防ぐためのコツがこの3点です。気温が35℃を上回るような環境でもないかぎり(そのような環境でのウォーキングはそもそもNG)、この3点だけしっかりと意識して水分補給しておけば熱中症のリスクは大幅に軽減できます。

まずはウォーキング前にコップ1杯分の水分を摂っておくこと。運動前に補給しておけば、発汗による水分量が正常時よりもマイナスになることを防げます。流れるほど汗をかかないようなら、基本的にはウォーキング前に飲んでおくだけで十分です。

気温が高くて、ウォーキングでしっかり汗をかくようなら、5分にひと口もしくは15分毎に100ml程度の水分を補給しましょう。ウォーキング前の水分補給もウォーキング中の水分補給も、スポーツドリンクを使うようにしてください。水で補給すると体内のミネラル濃度が下がってしまい、それはそれで体調を崩す原因になります。

スポーツドリンクが苦手だという人は、水を飲みつつ塩を舐めるというのでも構いません。水分だけでなくミネラルも同時に補給するということを頭に入れておいてください。

ウォーキング中に水分補給するときの注意点

ウォーキングでの水分補給についてもう少し深く解説しています。ウォーキングでの水分補給をするときには、下記の3点に注意しなくてはいけません。

ウォーキング中に水分補給するときの注意点

  • 緑茶・コーヒー・アルコールでの水分補給はNG
  • できるだけこまめに補給する
  • ウォーキング前後で体重を測る

それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。

緑茶・コーヒー・アルコールでの水分補給はNG

水分補給はスポーツドリンクですることとお伝えしましたが、どうもスポーツドリンクが苦手だからと別の方法で水分補給する人もいるかもしれません。そのとき避けなくてはいけないのが、カフェインが含まれているドリンクで、緑茶やコーヒーなどがそれに該当します。

カフェインは利尿作用があるためせっかく水分を補給したのに、それを体外に排出してしまいます。そして同じく利尿作用があるのがアルコールです。ウォーキング中にお酒を飲む人はいないと思いますが、美味しいビールを飲むために水分補給もせずに歩き通し、帰宅後すぐにビールを飲むみたいなことはやめておきましょう。

できるだけこまめに補給する

私たちの体は1度に吸収できる水分量に上限があります。汗で1リットルの水分を失ったときに、いきなり1リットルの水分を飲んだとしても、すぐに体内に吸収されるわけではありません。このため、水分補給が遅れてしまい、熱中症になってしまうことも考えられます。

水分補給はこまめに行うように心がけてください。5分にひと口と説明しましたが、理想はそれくらいの頻度で補給することです。ただ、そんなにこまめに補給していたらウォーキングに集中できないという場合には、10分に1回、100mlくらいを目安に補給してください。

ウォーキング前後で体重を測る

熱中症を防ぐためには失ったのと同じ量の水分を補給する必要があります。そのためには、どれくらいの水分を失っているのかを把握しなくてはいけません。そのために有効なのがウォーキング前後の体重測定になります。

たとえばウォーキング前に54kgだったとして、ウォーキング後に52.5kgだったとします。この場合には1.5リットルの水分が失われたことになり、ウォーキング後に時間をかけて1.5リットル分の水分を飲む必要があります。この1.5kg差を「体重が落ちた」と喜んでいる人がいますが、これは喜ぶようなことではありません。

理想はウォーキング前後で体重が変わらないように、歩きながら水分補給をすることなのですが、7月や8月の暑い日に歩くと、ウォーキング中の水分補給では足りなくなることがよくあります。そのようなときに、どれくらいの水分を追加で補給すればいいのか把握するためにも、体重測定をルーティーンにしておきましょう。

まとめ

ウォーキングくらいで水分補給なんて必要ないと思っている人がほとんどかと思いますが、最近の日本の夏はかなり気温が高くなっています。このため正しい水分補給を意識しておかないと、ウォーキング中に思わぬトラブルにあってしまう可能性があります。

難しいことはなく、ウォーキング前とウォーキング中にスポーツドリンクで水分補給するだけ。あとはウォーキング前後で体重を計測しておき、マイナス分を時間をかけて補えば熱中症リスクを大幅に軽減できます。もちろん気温が30℃を超えるような気温の中を歩かないなど、気をつけるべきポイントは他にもありますが、それについては別記事でご紹介していきます。

まずはこまめな水分補給を心がけるようにしてください。健康のために歩いているのに熱中症で倒れてしまったというのでは困ります。ノドの乾きを我慢していいことなんてひとつもありません。ウォーキングに忍耐力は必要ありませんので、せめて歩く前の水分補給だけでも習慣づけるようにしてください。

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この記事を書いた人

神奈川と東京を中心に活動しているパーソナルトレーナーです。学生時代はプロのサッカー選手を目指し、大学卒業後にランニングの魅力にはまりトレーナーに。体の使い方を中心としたパーソナルトレーニングを行っています。

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