ウォーキングをする目的は人それぞれですが、多くの人が期待しているのは健康的な生活を送れるようになることですよね。健康になりたくて、手軽に始められる運動としてウォーキングを選んだのだと思いますが、それゆえに歩き方を意識している人が少なのが実情です。
もちろん歩くだけなので、どんな歩き方をしても大きな問題はないのですが、せっかく歩いて健康的になるのであれば、より効果的に健康な体を手に入れたいところです。そこでここでは、最大限の効果を得られるウォーキング方法について、そのコツをご紹介していきます。
正しい歩き方を身につけるメリット
正しい歩き方についてご紹介する前に、正しくウォーキングをできるようになると、どのようなメリットがあるのかについて説明します。正しい歩き方を身につけるメリットは下記の5点になります。
正しい歩き方を身につけるメリット
- 日常生活での姿勢が良くなる
- 足が太くなるのを防げる
- より長い時間歩いていられるようになる
- ケガをしにくくなる
- 心に余裕ができてくる
正しい歩き方をするだけで、こんなにもメリットがあるなら、すぐにでも導入したいと考えている人もいるかもしれませんが、そのまえにメリットについてもう少し詳しい内容を見ていきましょう。
日常生活での姿勢が良くなる
正しい歩き方をする最大のメリットは、日常生活での姿勢が改善されるということです。正しい歩き方を意識すると、インナーマッスルを刺激して歩くようになるので、体幹が安定してきます。体幹が安定すると猫背やストレートネックなどの、いわゆる「悪い姿勢」が改善し、立ち姿も座り姿も美しくなります。
さらに姿勢が良くなると、疲れにくくなるといったメリットもあります。新幹線や飛行機のシートを倒さないと疲れるという人もいるかと思いますが、正しい歩き方を身につけて、体幹を整えることができるようになると、シートを倒さないほうが楽になるなど、生活スタイルそのものが変わっていきます。
足が太くなるのを防げる
正しい歩き方をしていると、歩くのに必要な筋肉だけを鍛えられます。ところが歩き方が悪いと、本来負荷がかからないはずの筋肉に負荷がかかってしまうので、歩けば歩くほど足が太くなっていきます。せっかく歩いているのにスタイルが悪くなったのでは困りますよね。
でも正しく歩けば、足は太くなることもなく、スリムで引き締まった美しい足になります。
より長い時間歩いていられるようになる
正しい歩き方をマスターすると、筋肉や関節への負担が小さくなります。その結果、エネルギーの消耗が少なくなるためより長い時間、長い距離を歩けるようになります。遠くまで歩けるようになると、ウォーキングの幅が大きく広がります。たとえば「自分の足で箱根を越えてみよう」なんて挑戦もできるようになります。
ケガをしにくくなる
ウォーキングは負荷の軽い運動ですが、間違った歩き方をすると膝がねじれて関節に負荷がかかり、ケガをしてしまう可能性があります。でも正しく歩くことができれば、膝がねじれることもなくなり、体が無理な動きをしなくてよくなるので、ケガをすることなく歩き続けられるようになります。
さらに肩こりなども改善するので、日常生活でのストレスも軽減されるといったメリットもあります。
心に余裕ができてくる
正しい歩き方が身につくと、呼吸の質を高めることを意識しながら歩けるようになります。歩きながらもしっかりと呼吸ができるので、副交感神経優位の状態になりやすく、心に余裕がでてきます。反対に間違った歩き方をすると、体のあちこちのストレスが大きくなり、ネガティブ思考になりがちです。
もしウォーキングをしているのに、イライラすることが増えていたとしたら、それは歩き方が間違っている可能性があります。そうならないためにも、次章では「正しく歩く」とはどういうことなのか、歩き方の基本をご紹介していきます。
正しい歩き方の基本
正しく歩けるようになると、さまざまなメリットを受けられるとわかったものの、そもそもどういう歩き方が「正しい」のかわからないという人のほうが多いかと思います。ここではそのような人のために、正しい歩き方についてレクチャーしていきます。
正しい歩き方を構成する要素は大きく分けて4つに分類できます。
正しい歩き方を構成する4つの要素
- 姿勢
- 足運び
- 腕振り
- 呼吸
正しく歩くときには、この4つの要素を意識してください。それぞれの要素について、何を意識すればいいのか詳しく見ていきましょう。
姿勢
まずは正しい姿勢で立つことから覚えましょう。チェックポイントはいくつもあるのですが、まず意識するのが次の点になります。
- 頭頂を糸で引っ張られているイメージを持つ
- 肩甲骨の突起部分をたこ糸でつなげるイメージを持つ
- おへそを肩甲骨側に軽く引き上げる
- 左右のおしりを引き寄せる
この4点を意識して立ってみてください。それだけでいつもの自分と比べてスマートな立ち姿になっているはずです。ただ大事なのは、その状態を維持して歩くということです。これらを意識しようとすればするほど肩に力が入ってしまうので、できるだけリラックスしながら4点を確認しつつ歩いてみましょう。
足運び
ウォーキングは踵着地が基本となります。ランニングの場合はつま先着地(フォアフット)を推奨する人もいますが、ウォーキングでつま先着地をするメリットはひとつもありません。まず踵を着地させ、次に小指の付け根、そして親指というように体重移動させながら歩いてください。
このとき足裏を転がすようなイメージを持つと、より効率的に歩けるようになります。また、きちんと体重を片足で受けるということも大切です。ウォーキングでは片足で立っている状態が連続して続くので、体重をきちんと片足で受けられないと膝がねじれるなどのトラブルを引き起こします。
歩幅はそれほど気にしなくても構いませんが、あまり小さくなりすぎないように気をつけてください。体重をきちんと受けられる範囲で少し大きめに歩幅をとってみてください。
腕振り
ウォーキングでは腕振りが大事と言われていますが、実は腕振りをきちんと活かせている人は少なく、むしろ腕振りが正しい姿勢を阻害することもあります。ウォーキング講座で「しっかり腕を振れ」と習った人もいるかと思いますが、それは忘れてしまいましょう。
まず手は小指だけ軽く力を入れて、卵を掴むような感覚で優しく握ってみてください。腕は90°が理想ですが、無理に90°にして肩に力が入ったのでは困ります。90°になっていなくてもいいのでリズミカルに振ることを意識しましょう。最終的には足の動きと連動するのが理想ですが、初心者のうちは難易度が高いので考えなくても構いません。
呼吸
ウォーキングでは口すぼめ呼吸や腹式呼吸がいいとされていますが、これはあまり気にしなくても構いません。歩数に合わせて呼吸をしたほうがいいというのもそれほど重要ではありません。ウォーキングでは細かい呼吸法を意識しなければいけないほど心肺機能に負荷をかけません。
ただ呼吸を無視していいといいわけでもありません。まずはリラックスすることが大事です。歩き出す前にしっかりと深呼吸をして全身の力を抜きましょう。そして、歩き始めの5分は息を吐くことを意識してください。肺から空気をしっかりと出し切るようにすれば、吸い込みは体が勝手にやってくれます。
正しい姿勢を早く習得したいなら週2回の筋トレをしよう
正しい姿勢で歩くことが大事だとわかっていても、そもそもそれを維持する筋肉がないと、すぐに悪い姿勢に戻ってしまいます。このため、ウォーキングだけで正しい姿勢を習得しようとすると、美しい姿勢が自然と身につくまでに長い年月がかかってしまいます。
もっと手っ取り早く正しい姿勢を身につけたいという人は、週2回ほど筋トレをしてみてください。おすすめはスクワットやランジといった下半身を強化する筋トレと、ピラティスのようなインナーマッスルを鍛える筋トレの2種類です。
スクワットやランジをすることで足の筋力が上がるため、歩幅を広げたり、省エネでの歩行が可能になります。そしてピラティスでインナーマッスルを鍛えることで、正しい姿勢を維持しやすくなります。気をつけたいのは、どちらも独学でやらないということです。
正しいトレーニング方法が身につくまでは、トレーナーやインストラクターのいる環境でレッスンを受けてください。特にピラティスはインストラクターなしでトレーニングすると、インナーマッスルではなくアウターマッスルを鍛えてしまい、姿勢の改善効果が期待できなくなります。
いずれも余裕があるならプライベートレッスンもしくは少人数制のクラスがおすすめです。正しい方法でトレーニングできる環境で歩くために必要な筋肉をつけてください。
正しい姿勢を身に着けて美しく歩けるようになろう
ウォーキングは歩くだけですので、誰からも教わることなく始められるといった手軽さがありますが、独学で始めてしまうと間違った歩き方が定着してしまい、足が太くなったり、ケガをしてしまったりすることもあります。そうならないためにも、正しい姿勢で歩くことはとても大切です。
正しい歩き方を身につけることで日常生活での姿勢が改善され、しかも歩いたときの疲労感も少なくなるので、より長い時間ウォーキングを楽しめるようになります。歩くことが楽になるので、心に余裕ができてくるといったメリットもあり、ウォーキングを生涯スポーツとして楽しみたいなら、必ず意識してもらいたいところです。
そのためにはまず、正しい姿勢で立てるようになってください。まずは日常生活から姿勢を意識すること。それができるようになると正しく歩けるようになるだけでなく、歩き姿も見違えるほど美しくなります。そうなると歩くことが更に楽しくなるといった好循環が生まれます。
正しく歩かなくてもウォーキングではそこまで大きな問題にはなりませんが、せっかく歩くわけですから、美しく颯爽と歩けるようになるためにも、正しい方法でのウォーキングを意識して歩いてみましょう。