探検家・角幡唯介氏による前代未聞のチャレンジが1冊の本に。「地図なき山――日高山脈49日漂泊行」

探検家・作家の角幡唯介さんによるはじめての国内冒険登山ノンフィクション『地図なき山――日高山脈49日漂泊行』が新潮社より11月20日に発売されます。文明を遠ざけて、自らの力で大地と向き合うために、地図を持たずに日高山脈を登った貴重な記録になります。

登山は安全を考慮して、どんなトラブルにでも対応できるようにと徹底した情報収集を事前に行い、山に入ってからも自分の位置を確認しながら登っていきます。では、情報を集められなくなったとき、人間がどうなってしまうのか。その応えが、1冊の本から読み解くことができます。

地図を持たずに山に入るというチャレンジ

地図は登山家にとってなくてはならないアイテムのひとつですが、それを手にしたことで私たちは大切な何かを失っている可能性があります。地図により地形を読み取り、安全なルートを選びながら登っていく。それは本当に登山といえるのか、その登山で心は満たされるのか。

その答えを知るために、探検家・作家の角幡唯介さんは、地図を持たずに日高の山に分け入ります。

満を持して乗り込んだ日高山脈でしたが、先が読めないことは、著者の精神に想像以上の重圧を与え続けます。そして、目の当たりにしたのが高低差70mの大滝でした。普段なら、さまざま方法を駆使して「登れた」はずのその滝を、著者は「登れない」と瞬間的に判断して引き返します。

先の地形がわからない心理的重圧のせいで、瞬間的に断念したのです。その経験は、著者の胸の内に数年にわたって残り続けることになりました。

「地図なし登山」の過酷さに心を折られ、その試み自体を断念しようとした著者でしたが、最初の登山から3年の時を経て、再び日高の山に挑みます。その行為の先に見えてきたのは、それまでとはまったく違う山の表情でした。探検家の価値観はどのように変容したのか? ぜひご一読ください。

目次

はじめに――よりよく生きるために私は地図を捨てた
第一章 旅立ちの記 <二〇一七年夏の記録 その一>
第二章 漂泊論~地図なし登山への道
第三章 裸の山に震え慄く <二〇一七年夏の記録 その二>
第四章 新しい道を見つける <二〇二〇年夏>
第五章 巨大な山に登る <二〇二一年夏>
第六章 ラストピークをめざす <二〇二二年夏>

書籍概要

タイトル:地図なき山――日高山脈49日漂泊行
著者名:角幡唯介
判型:四六判(288ページ)
定価:2,310円(税込)
発売日:2024年11月20日
ISBN:978-4-10-350232-6

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次